酸性矯正について
目次
・酸性矯正のメリット、デメリット
・pHについて
・等電点
・収斂と膨潤
・実際のテクニックポイント
酸性矯正とは通常の縮毛矯正と違い、弱酸性の薬剤を使用することにより毛髪を軟化させずに薬剤を内部まで浸透させ毛髪内部のシスチン結合を切断、再結合を行うためキューティクルの損傷を防ぎ、ケラチンタンパクの流出を必要最小限に抑えたまったく新しい考え方の縮毛矯正になります。
そのため従来の縮毛矯正よりもダメージレスに、より自然な仕上がりを叶えることが出来ます。
その反面、軟化をしないため軟化チェックが行えない、放置時間が長い、特殊なアイロンテクニックが必要など、薬剤パワーに頼る縮毛矯正とは違い、美容師の技術や知識、経験が必要な施術にもなります。
そもそもpHとは?
pHとは水素イオン濃度指数のことをいい、0~14までの数字で表される酸性、アルカリ性を図る物差しのような物を言います。
pH7の中性を中心に数字が小さくなればなるほど酸性(H+)が強く、数字が大きくなればなるほどアルカリ性(OH-)が強くなります。
水に溶けるすべての物にpHは存在し、カラー材、パーマ液、縮毛矯正剤など我々美容師が普段使用する薬剤にも非常に密接に関わっています。
等電点
先述した通り様々な物にpH値は存在し、毛髪にもpH値があることが分かっています
毛髪のpHは「4.5~5.5(弱酸性)」が理想的で安定した状態といわれ、この値を毛髪の等電点(とうでんてん)といいます。
毛髪全体を包んでいるキューティクルの状態もpHによって変化します。
収斂と膨潤
では実際に酸性の薬剤、アルカリ性の薬剤に毛髪が触れたとき毛髪は一体どのような変化が起こるのか、検証していきたいと思います。
等電点より酸性に傾き、pH値が低くなると、キューティクルが閉じます。この状態を収斂(しゅうれん)といいます。
キューティクルは毛髪の外部と内部を隔てるドアのような役割があり、収斂はドアを閉めるようなイメージです。
適度な収斂は毛髪のハリやコシ、しなやかさに繋がりますが酸性に大きく傾き強すぎる収斂作用が働くと毛髪全体が硬くなっていき、手触りが悪くなります。
また反対に、アルカリに傾いてpH値が高くなると、キューティクルが開き水分などを吸収しやすい状態になります。
この状態を膨潤(ぼうじゅん)といいます。毛髪内部へのドアを開くことになり、毛髪内部の補修に有効な成分やヘアカラーの染料、縮毛矯正剤等が毛髪内部に浸透しやすくなります。
その一方で、膨潤作用が強く働くとキューティクルを破壊したり、毛髪内に浸透した成分が抜けやすくなってしまいます。
酸性矯正の場合、等電点付近のpHで施術を行うため、過度な収斂、膨潤が起こりにくく毛髪にとって安定した状態で矯正をかけることができるためダメージを最小限に抑えることが出来ます。
テクニックについて
酸性矯正を行う上で大事なポイントをいくつかご紹介していきます。
・軟化チェック×還元チェック〇
酸性矯正の場合、軟化を行わないので軟化チェックができません。
そのため軟化に頼らない還元のチェックが必要です。
簡単なチェック方法として、薬剤を塗布したあとロッドを巻く方法を推奨しています。
塗布→1本ロッドを巻く→放置(15分でチェック)→ロッド径の1.5倍のリッジが出ていればOK→出ていなければ+5分放置
・ウェットアイロン
1剤お流し後ドライヤーで乾かし切らず少し湿った状態でアイロン処理。
乾かしの目安はぎゅっと握って滴らない6割~8割ドライの状態。
アイロン温度は180℃~200℃
じっくり熱を与えていくようにじんわりアイロンスルー
軟化に頼らない分アイロンでしっかり伸ばす意識が大事になります。
(例)しわしわの乾いたシャツをアイロンで綺麗に伸ばすのは大変だけど、スチームアイロンなら綺麗にしわが伸ばせるような感覚です。
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